保護者の方へ

代表について

 1962年生まれ。空手は1972年から長友天心氏、1990年から岡野友三郎氏、1996年から現在まで、香川政夫氏に師事しています。1975年にキックボクシングの世界にも入りました。指導は1988年から三宝館・JKKGを中心におこなっています。

 空手・キックボクシング以外では、大学学部で微生物学、大学院で社会人類学を専攻、渡邊欣雄氏、小田亮氏ほかに師事(博士:社会人類学)、現在も大学で研究しています。専門は、アソシエーション・コミュニティの構造論、調査地域は沖縄、台湾、タイなど、近年は国内中山間地域の調査も手がけています。

問題のない子はいない?

 これまで、たくさんのお子さんと接してきました。勉強の苦手な子、几帳面ではない子、乱暴な子、問題のない子には一人も出会っていません。私自身もそうであったように、みんななんらか問題がある子たちでした。でも、そうした子たちは、やがて空手やキックボクシングの子に育っていきます。

訓化力

 私は、空手とキックボクシングの代表を兼任してきました。おもしろいことに、空手の子は空手の子らしく、キックボクシングの子はキックボクシングの子らしく育つのです。私や指導員がそのように仕向けることはありません。ただ空手やキックの指導をしているだけです。子供たちをそのように仕向けるのは、集団や空手・キックボクシングが持つ訓化力だと考えています。

集団と訓化

 集団とは、そこに属する人びとのつながりの束のことです。小中学生の場合には、とりわけ年齢の近い先輩に影響を受けやすいようです。かつて日本には、「子供組」といった同年代で構成される地域の組織がありました。そこでは「若者組」の年長者がリーダーとして、子供たちにさまざまな指導をおこなっていました。子供たちは、親というよりは「子供組」で訓化され、仲間をえて、若者に成長していきました。つまり子供の成長に、仲間や先輩が重要な役割を担っていました。

現在の「子供組」

 このように、かつては子供の成長に、同年代の仲間や先輩が欠かせないものでした。現在、「子供組」のような組織として、学校があげられます。でも学校は一時的な場であり、継続的な「子供組」とはなりきれません。他方で、「子供組」のような関係は、地域の子供会や部活、スポーツクラブなどでも見られます。

子供の世界と指導者

 こうした場で重要なのは、子供だけの世界とそれを見守る先輩や指導者の存在です。子供たちには、子供たちだけの世界が必要です。けれども、「いじめ」が社会問題化しているように、同年代だけで構成される子供たちだけの世界は、必ずしも安全とはいえません。そこには子供たちを導く「若者」のような先輩が必要なのですが、学校のクラスに先輩はいません。また「若者」が、いつも正しいとはかぎりません。また子供と「若者」をあわせて見守る大人も必要です。

仲間と先輩

 当道場やキックボクシングジムを見ていると、空手のこと、作法のことなど、全般にわたり、同年代の子供たちが教え合ったり、指摘し合う仲間をつくります。先輩児童は、そうした後輩児童をよく面倒みています。私たち指導者は、余程のことがないかぎり、彼ら/彼女らを見守るだけで介入しません。先輩児童は、自分の手に余ると指導者に助けを求めます。その場合でも、なるべく先輩児童に解決させるように導きます。ほとんどの場合、これでうまくいきます。つまり先輩を見守っていれば、指導者は、特に何事をしなくとも、道場の子供たちは成長できるようです。

居場所ということ

 当道場の生徒は、高校や大学進学によって、日常の稽古には参加しなくなります。この時、多くは、「やめるわけではない」といいます。そして長期休暇には、戻って稽古をしています。当ジムの会員も、何らかの理由で練習に参加できなくなります。けれども多くの方が、ジムや試合に訪れています。こうした戻れる場、受け入れてくれる場が、彼ら/彼女たちに重要だと考えています。ある保護者は「やっと子供の居場所ができた」とおっしゃいました。その子にとって学校は、彼を彼として受け入れてくれる場所ではなかったようです。道場で先輩や仲間、後輩ができ、彼を彼として受け入れることで、道場が彼の居場所となったというのです。

道場やジム以外でも活動しましょう

 子供たちの居場所となるのは、道場やジムだけではありません。試合や講習会、出稽古をつうじて出会う同年代のお子さんや指導者たちとの関係も、やがて居場所となっていきます。お子さんたちが成長していくと、そうした関係が重要になります。空手やキックボクシングで結ばれた縁は、思いのほか強いものです。道場やジム以外のさまざまな活動にも参加しましょう。

勉強や仕事との両立

 これまで中学・高校在学中ほぼ稽古を休まず、国立大学に合格した会員。大学在学中にプロ活動を行い、卒業後に医師や税理士になった会員がいます。それ以外の会員も、学業や業務と活動を両立しています。私自身も空手とキックボクシングを継続しながら、国立大学と公立大学院に進学し、社会人としても活動してきました。勉強や仕事との両立は、必ずしも難しいことではありません。